白鳥異伝


荻原規子/徳間書店


 勾玉三部作ニ作目。実はこの白鳥異伝が三部作の中でも一番お気に入りだったりします。

 双子のように育ってきた遠子と小倶那。小倶那は都へと旅立ってしまう。遠子の元に必ず返ってくる、と言い残して。しかし数年後、「大蛇の剣」の主として戻ってきた小倶那は自分でも望まないうちに故郷を炎で焼き滅ぼしてしまう。小倶那の手によって故郷と一族を滅ぼされた遠子は自分の手で小倶那を殺すと誓う。
 自分の手で小倶那を殺せばきっと昔の二人に戻れると思う遠子と、自分にはどうすることもできない運命に巻き込まれてしまった小倶那の気持ちが切ないです。二人は互いに会いたいと願っていただけなのに。

 次々と郷を滅ぼしていく小倶那を追い、そして彼を滅ぼすことが出来るという勾玉を探して遠子は旅を続けます。その途中で出会ったのが4つの勾玉のうちのひとつを持った菅流。まあこの菅流が男前なのですが、かなりのたらしです(笑)。この物語、相当重たい話ですが彼のおかげで救われたこともあったに違いありません。ふざけっぱなしのように見えて、実はやる時はやる。物語の描かれていない部分で相当活躍してるはずです。多分菅流主人公にひとつの話書けるくらいに。物語的にも重要じゃないのか?と思えるようなことでも、実はこうだったという説明だけですっとばされてるのにはびっくりしましたし、ちょっともったいないと思ったり。

 この物語、三部作の中では一番分長くて、一番スケールも大きいです。ファンタジー色も一番濃いと思う。そして登場人物に勢いがある。そのせいか、ぐいぐいと引っ張られるように一気に読んでしまいました。主人公の遠子は本当にまっすぐですよね。思い込んだら突っ走る、って感じですけども。反して小倶那はちょっと後ろ向き(苦笑)。結局最後には男らしく成長してるのでよかったのですが。菅流は菅流で多分遠子を好きだったんだろうなという雰囲気醸し出してましたが、結局遠子と小倶那、二人まとめて世話を焼いてしまってる人のよさがツボでした(笑)。

 私は三部作の中ではこれが一番好きな気がします(どれか一つを選べと言われれば、の話で、本とはどれも好き)。



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