白い犬とワルツを


テリー・ケイ/訳:兼武進/新潮社文庫


<あらすじ>
足の不自由な老人サム・ピークは、最愛の妻の死後、どこからともなく現れた白い犬と出会う。犬はサム以外の人間には姿を見せず、声も立てない。
やがてサムは白い犬と互いに寄り添うようにして妻を失ってからの人生を生き抜こうとする・・・。


しずかなしずかな物語でした。物語は、主人公が妻の生きていたころの思い出と現実とを行ったり来たりして進んでいきます。彼がどれほど妻を愛していたか。妻が死んだ時の彼の悲しみ。 じわじわと読む側にも悲しみが伝わってくるのです。
やがて彼が出会った白い犬は妻のいない寂しさを埋めてくれます。


 『 床の上に体を丸めていた白い犬がくんと鳴き、
   起き上がると、そばによってきて、彼の胸に頭をすりつけてくる。
   彼は犬をじっと見つめる。犬の目の中を覗き込む。
   褐色の宝石のようなコウラの目が見える。
   彼はむせび泣きながら白い犬を引き寄せ、胸にしっかりと抱きしめた。』(212頁より引用)


彼のそばに寄って来る白い犬の様子がとてもかわいくて、優しげて。
彼と白い犬がワルツを踊るところもとても情感豊かでその光景が目に浮かびます。

こんなに悲しみと、愛と、優しさに溢れた物語を私は読んだ記憶があまりないです。
読後は悲しいけれど、どこか爽やかで。

大人が読むべき物語だと思います。
皆さんも是非どうぞ。



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